生産のコダワリ                

  • パルメット仕立て 矮性台を利用して、列方向にできる限り平面に近い形に枝を配置して仕立てます。作業時の脚立の掛け方も容易で、作業性はすこぶる良好となります。剪定による樹形の維持も比較的容易です。植栽距離は3×3mの111本植えで反収を上げるように試験しましたが、列間に運搬用の機械が入った時の余裕も考えると、列幅4mは必要だと思います。樹間は3m以上が理想ですが、品種によっては2.5mでも維持が可能です。
  • 地域資源活用 青森県の地場産業のひとつであるホタテ養殖産業の廃棄物「ホタテの貝殻」。これを園地の排水不良箇所の地下部に暗渠パイプを纏うように埋めていきます。いわゆる暗渠疎水材と言われるものですが、かつては砕石や川砂利、もみ殻、廃木材などが使用されてきましたが、その効果や扱い易さを考えても、このホタテの貝殻が最も有効と考えております。
  • 斜立仕立て 矮性台を利用して、4×2mで栽植したのち、1本の樹に交互に反対方向に斜立させた。当初の屈曲位置は樹高0.8~1mからとし、3~4年生の樹齢で傾けるのがいいタイミングのようです。余り早く傾けすぎると、ひたすら頂端や背面側から枝が上に向かって強く伸びようとするので、ある程度バランスよく枝が発出してからがいいかと思います。角度は当初は45度にしましたが、樹や果実の重みで棚が下方向に下がってくるため、なかなか角度を維持するのは難しいです。
    収穫作業は非常に効率がいいのですが、作業空間が意外と狭く、大人数での作業は必ずしも効率的とは言い難いです。開園コストが高いのも難です。
  • 高密植栽培  欧米で主流となりつつある栽培方法。いわゆる「高密植栽培」「トールスピンドル仕立て」とされます。当社でも2021年から徐々に面積・品種とも増やして試験栽培しております。
     園地における樹の栽植本数を多くして、単位面積当たりの収量を早く且つ多く上げるということ、省力化、機械作業を導入しやすくということが目的として挙げられますが、当社としては樹と樹の間隔は狭めつつも、作業効率のため列間は広めでとの考え方です。それぞれ一長一短はあるようです。
     如何にして樹がコンパクトになり得るのか、「省力」して「小玉」で「美味」しい果実を早期に収穫して、産地としてお客様に対しても手に取りやすい価格実現を目指すべきとの考えから導入しております。
     従来の栽培管理とは多少違った視点が必要です。ただ、日本の北国では梅雨期から初夏に限られた日照時間となる傾向があるため、翌年の花芽形成に不利とされております。
     とにもかくにも毎年、継続して成りこませることが最も大事になっていきますので、もうしばらく試験栽培が続きそうです。